教育訓練休暇給付金とは|在職中に休んで学ぶ条件【2026年】

教育訓練休暇給付金とは

教育訓練休暇給付金とは、在職者が30日以上の無給の休暇を取って学ぶ間、失業給付(基本手当)に相当する額を受け取れる雇用保険の給付です。2025年10月1日に創設され、雇用保険の加入期間に応じて90〜150日分が支給されます。

この記事でわかること

  • 教育訓練休暇給付金を受け取れる人の条件(加入期間の2つの要件)
  • 給付日数(90〜150日)と月額の目安
  • 対象になる教育訓練の範囲と講座の探し方
  • 会社に休暇制度がないときの動き方と相談の順番
  • 申請の流れと、受給後に雇用保険の期間がリセットされる注意点

公的情報源: 厚生労働省「教育訓練休暇給付金」(参照)/同「教育訓練休暇給付金のご案内」パンフレット(PDF)/いずれも2026年10月時点

この記事の要点

  • 学費ではなく休む間の生活費を支える給付。会社を辞めずに使える
  • 条件は休暇前2年に12か月以上の被保険者期間と、通算5年以上の加入
  • 休暇は会社の制度に基づき、合意のうえで取る連続30日以上の無給の休み
  • 給付日数は加入期間で90日・120日・150日。受給期間は休暇開始から1年
  • 受給すると雇用保険の期間がリセットされる。教育訓練給付金との併用はできる

「会社は辞めたくない。でも、仕事をしながらでは学ぶ時間が足りない」。そう感じている人に向けて、2025年10月に新しい給付ができました。この記事では、在職者が休んで学ぶ立場から、使える条件と手順を順に確かめていきます。

制度全体の中での位置づけはリスキリングの補助金・給付金を個人が使える制度一覧にまとめています。この記事で扱うのは、教育訓練休暇給付金だけです。

目次

教育訓練休暇給付金とは、学ぶ間の生活費を支える給付

教育訓練休暇給付金とは、在職者が無給の教育訓練休暇を取る間に、雇用保険から出る給付です。厚生労働省のパンフレットでは、離職せずに学ぶ人の生活費を保障するための給付と説明されています。

金額は失業給付(基本手当)と同じ方法で計算され、賃金の一定割合が支給されます。創設日は2025年(令和7年)10月1日です(山口労働局「令和7年10月1日に『教育訓練休暇給付金』が創設されます」)。

名前が似た3つの給付の違い(2026年10月時点)

給付何に出るか主な対象
教育訓練休暇給付金休暇中の生活費在職者(30日以上の無給休暇を取る人)
教育訓練給付金講座の受講料の一部在職者・離職から1年以内の人
教育訓練支援給付金受講中の生活費離職者で45歳未満など(令和8年度末までの暫定措置)

教育訓練給付金は学費が戻る制度で、教育訓練休暇給付金は休む間の収入を支える制度です。役割が違うので、条件を満たせば両方を使えます(併用は後の章で扱います)。

厚生労働省が示している使い方の例

パンフレットとリーフレットに載っている活用例は、次のとおりです。

  • 外国企業とやりとりする部署への異動を希望し、語学の習得に専念する
  • IT企業で働く人が、上位資格の取得のために休む
  • 新規部門の立ち上げに向けて、MBAなど専門職学位の取得を目指す
  • 在職中に司法試験に合格し、司法修習を修了してから企業の法務に戻る

どの例も、今の会社に戻って働き続けることが前提になっています。辞めて学ぶのではなく、在籍したまま学ぶ人のための給付です。

受け取れる人の条件は「加入期間」と「休み方」で決まる

受け取れるかどうかは、雇用保険の加入期間と、休暇の取り方の2つで決まります。どちらか一方が欠けると、給付は出ません。

教育訓練休暇給付金を受け取れるかの判定

  • 上から順に、すべて当てはまれば対象です
  • 1雇用保険の一般被保険者か65歳以上の高年齢被保険者、短期雇用特例・日雇の被保険者は対象外
  • 2休暇前2年間に被保険者期間が12か月以上あるか賃金の支払いの基礎となった日が11日以上ある月を1か月と数えるのが原則
  • 3休暇前に雇用保険の加入期間が通算5年以上あるか離職期間が12か月以内なら前後を通算できる(失業給付等を受けた場合は不可)
  • 4会社の制度に基づき、合意して30日以上の無給休暇を取るか就業規則・労働協約などに規定があり、本人が自発的に希望して事業主が承認した休暇

加入期間を満たしているかは、休暇の開始前にハローワークで確認できます

図:雇用保険の種類・加入期間・休み方の順に確かめる(厚生労働省パンフレット・2026年10月時点)

加入期間の2つの要件

加入期間の要件は2つあり、両方を満たす必要があります(厚生労働省パンフレット p.1)。

  • 休暇開始前の2年間に、被保険者期間が12か月以上ある
  • 休暇開始前に、雇用保険に入っていた期間が通算5年以上ある

転職で間が空いた人でも、離職期間が12か月以内なら前後の期間を通算できます。ただし、その間に失業給付などを受けていると通算できません。過去に基本手当・育児休業給付金などを受けた人も、通算できない期間が出ることがあります。

給付の対象にならない休み方

連続30日以上の無給休暇でも、次のような日は給付の対象外です(パンフレット p.2・Q&A)。

  • 業務命令で研修や資格取得を受けさせる場合(自発的な休暇ではない)
  • 休暇中でも有給休暇や育児休業を取った日
  • 収入を伴う仕事をした日。副業で働いた日も同じ扱い
  • 休暇中に会社が週1回の出勤などを求める形
  • 会社が解雇や雇止めを予定している人に休暇を取らせる場合

上司の案内がきっかけでも、本人の意思で取る休暇なら対象になります。休暇中に人事担当者と軽く連絡を取る程度なら、一般に就労には当たらないという扱いです。

もらえる額と日数は、賃金と加入期間で決まる

1日あたりの額は、原則として休暇開始日前6か月の賃金をもとに計算します。休暇開始日の前日を離職日とみなして、失業給付と同じ方法で出す仕組みです。賃金のほか、年齢によっても変わります。

雇用保険の加入期間と給付日数(厚生労働省パンフレット p.2)

雇用保険の加入期間給付日数
5年以上10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

月額の目安(パンフレット p.2「支給額のイメージ」)

額面月収給付月額の目安
250,000円約170,000円
350,000円約195,000円
450,000円約225,000円

この表は、額面月収から給付日額を出して30日を掛けた便宜上の目安です。実際の額は、休暇前の賃金の支払い状況や年齢、認定の状況で変わります。厚生労働省のページには、年齢と額面月収を入れて試算できるシミュレーター(Excel)もあるので、自分の数字で確かめてみてください。

総額の目安を計算してみる

加入期間が12年、額面月収が35万円の人で考えてみます。給付日数は120日なので、月額の目安約19.5万円の4か月分です。

計算例(目安)

  • 加入期間12年 → 給付日数120日(30日×4回)
  • 月額の目安 約195,000円 × 4 = 約78万円
  • 同じ人が無給で4か月休むと、手取りはゼロになる。その穴を給付で埋めるイメージ

数字は当サイトでパンフレットの目安額から計算した例です。実際の支給額は、ハローワークの審査で決まります。

受け取れる期間は休暇開始から1年

給付を受けられる期間(受給期間)は、休暇開始日から1年間です。この範囲なら、休暇を何回かに分けて取っても給付を受けられます。

1年を過ぎると、給付日数が残っていても支給はありません。妊娠・出産・育児・病気などで30日以上学べなくなったときは、受給期間を延ばせる場合があります。

対象になる教育訓練と、教育訓練給付金との併用

対象になるのは、仕事に関わる教育訓練です。パンフレットでは、次の3つに分けて示されています(p.2)。

教育訓練休暇給付金の対象になる教育訓練(2026年10月時点)

区分例
学校教育法の学校大学・大学院・短大・高専・専修学校・各種学校の教育訓練
指定講座を持つ機関教育訓練給付金の指定講座を持つ法人などが行う教育訓練
職業安定局長が定めるもの司法修習・語学留学・海外大学院での修士号の取得など

「資格の一覧」という形で決まっているわけではありません。判断の基準は、どこで何を学ぶかです。対象になるかどうかは、休暇の前にハローワークで確かめられます。

講座を探すときは、パンフレットが紹介している次のサイトが使えます。

  • 教育訓練給付金の指定講座を探す「厚生労働大臣指定講座検索システム」
  • 大学などの学び直し講座をまとめた「マナパス」
  • デジタルスキルの講座をまとめた「マナビDX」

教育訓練給付金は併せて使える

教育訓練給付金の指定講座を受けるなら、受講料の一部が戻る教育訓練給付金も併せて使えます(パンフレット p.11)。生活費は休暇給付、学費は教育訓練給付金という組み合わせです。

休んで学ぶときの2つの給付の組み合わせ

教育訓練休暇給付金
支えるもの
休暇中の生活費
額
基本手当に相当する額×90〜150日
手続き先
会社経由の書類をそろえて、住所地のハローワーク
教育訓練給付金(専門実践)
支えるもの
講座の受講料
額
受講料の50%、条件を満たすと70%・80%
手続き先
受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認

図:生活費と学費を別の給付で支える。どちらも条件と手続きは別々(2026年10月時点)

専門実践教育訓練給付金では、雇用されたまま受講した人が目標の資格取得などをした場合も、追加の給付(70%)の対象になります(ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」)。受講料の給付率や講座の選び方は専門実践教育訓練給付金で学ぶ講座の選び方で整理しています。

教育訓練給付金は、受講開始前の手続きに期限があります。休暇の相談と並行して、講座の受給資格確認も早めに進めておくと安心です。

会社に休暇制度がないときの動き方

教育訓練休暇給付金は、会社の就業規則などに休暇制度があることが前提です。制度がない会社では、そのままでは使えません。ここが、この給付で一番つまずきやすいところです。

ただ、制度の名前は「教育訓練休暇」でなくても構いません。サバティカル休暇など、学ぶために使える休暇制度なら対象になります(パンフレット p.10)。まずは今の就業規則に使える休暇がないかを確かめます。

人事に相談する前にそろえておくもの

相談の前に、次の4点を自分で決めておくと話が進みやすくなります。休暇を取るときに会社へ出す「教育訓練休暇取得確認票」の記入項目と同じです。

  1. 休暇の期間(いつから何日か。30日以上連続)
  2. 教育訓練の目標(何を身につけ、復帰後にどう使うか)
  3. 教育訓練の内容(学校・機関の名前、講座名、受講開始日と修了予定日)
  4. 学び方(通学か、オンライン・通信か)

あわせて、ハローワークで自分の加入期間が要件を満たすかを確かめておきます。条件を満たさないまま会社を動かすと、お互いに手間だけが残ります。

会社側が使える支援も伝える

会社にとっても、休暇制度を作るのは手間です。相談するときは、会社が使える支援もあわせて伝えると検討してもらいやすくなります。

  • 就業規則への入れ方は、全国47都道府県の働き方改革推進支援センターで相談できる
  • パンフレットの付録(p.9〜10)に、就業規則の規程例が2つ載っている
  • 長期の教育訓練休暇制度を導入して適用した事業主には、人材開発支援助成金(人への投資促進コース)の助成がある

規程例の1つは、休暇を取る日の3か月前までに申し出る形です。会社によって期限は違いますが、規則づくりから始めるなら半年ほど前に相談を始めると余裕が持てます。

  • 今の就業規則に、学ぶために使える休暇制度があるか確かめた
  • ハローワークで加入期間を確認した
  • 期間・目標・内容・学び方の4点を書き出した
  • 会社が使える相談先と助成金の資料をそろえた

会社が休暇の取得を認めない場合、教育訓練休暇給付金は受け取れません。休暇の取得を理由に解雇や賃金の引き下げなど不利な扱いを受けたときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。

働きながら学ぶ道も残しておきたい人は、働きながら勉強する時間の作り方も参考にしてください。

申請の流れと、会社と本人の役割

手続きは、会社(事業主)と本人の両方が動きます。提出先のハローワークも違い、会社は事業所の所在地、本人は住んでいる場所を管轄するハローワークです。

教育訓練休暇給付金の手続きの流れ

  • 会社と本人が交互に書類を回します
  • 1会社が休暇制度を就業規則などに定める要件に合っているかは、休暇開始前にハローワークで確認できる
  • 2本人が申し出て合意し、取得確認票を出す期間・目標・内容・学び方を書き、事業主が承認する
  • 3休暇開始後、会社が賃金月額証明書などを提出休暇開始日の翌日から10日以内に、事業所を管轄するハローワークへ
  • 4本人が支給申請書を出し、受給資格が決まる会社経由で交付された申請書に記入し、住所地のハローワークへ
  • 530日ごとに認定申告書を出して支給を受ける初回の日程はハローワークから案内がある

休暇の期間や内容が変わるときは、変更確認票で会社の合意を取り直す

図:会社の制度づくりから30日ごとの認定まで(厚生労働省パンフレット p.4〜5・2026年10月時点)

本人が用意する主な書類(パンフレット p.6)

場面書類
支給申請(受給資格の決定)支給申請書・賃金月額証明票(会社経由で交付)、取得確認票、本人確認書類、通帳など
30日ごとの認定認定申告書、受講を証明する書類(受講証明・領収書など)、本人確認書類

2回目以降の認定では、受講を証明する書類の代わりに、受講していることの疎明書を出せます。申請書の様式は、厚生労働省の教育訓練休暇給付金のページから入手できます。

受給する前に確かめたい注意点

使う前に一番確かめておきたいのは、雇用保険の期間がリセットされる点です。教育訓練休暇給付金を受けると、休暇開始日より前の被保険者期間はなかったものとみなされます(パンフレット p.3・Q&A)。

そのため、原則として一定期間は、被保険者期間を要件とする失業給付などを受けられなくなります。新しい被保険者期間は休暇開始日から数え直しで、給付を受けた日は加入期間に入りません。

  • 休暇の後、近いうちに転職や退職を考えている人は、失業給付への影響を先に確かめる
  • 休暇中に副業の収入を得るつもりの人は、働いた日の分が支給されない
  • 1年を超える長期の学びは、受給期間(1年)を過ぎた分が出ない

一方で、影響しないものもあります。育児休業給付・介護休業給付のみなし被保険者期間と、教育訓練給付金の支給要件期間は、リセットの対象外です。休暇給付を使った後でも、教育訓練給付金の加入期間は通算できます。

偽りの申請で受給すると、受けた額の返還に加えて、その2倍の納付を命じられることがあります。詐欺罪として刑事罰を受けるおそれもあるので、申請は正確に行ってください。

よくある質問

Q1:教育訓練休暇給付金はいくらもらえますか?

休暇開始前6か月の賃金をもとに、失業給付と同じ方法で計算した額です。厚生労働省のパンフレットでは、額面月収35万円の人で月約19.5万円が目安とされています。給付日数は加入期間に応じて90〜150日です。

Q2:教育訓練休暇給付金の対象になる資格の一覧はありますか?

資格の一覧という形では決まっていません。大学・専修学校などの教育訓練、教育訓練給付金の指定講座を持つ機関の教育訓練、語学留学などが対象です。講座が当てはまるかは、休暇の前にハローワークで確かめられます。

Q3:会社に教育訓練休暇の制度がない場合は使えませんか?

そのままでは使えません。就業規則などに休暇制度があることが前提です。名前は問わないので、サバティカル休暇など学ぶために使える制度がないか確かめてください。制度づくりは働き方改革推進支援センターで相談できます。

Q4:パートや契約社員でも対象になりますか?

雇用保険の一般被保険者で、加入期間の要件を満たせば、雇用形態の名前では決まりません。65歳以上の高年齢被保険者や、短期雇用特例・日雇の被保険者は対象外です。

Q5:教育訓練休暇給付金のデメリットは何ですか?

主なものは、受給すると雇用保険の被保険者期間がリセットされることです。その後の一定期間は、失業給付などを原則として受けられません。休暇中は無給なので、給付が出るまでの生活費も手元に用意しておいてください。

Q6:専門実践教育訓練給付金と一緒に使えますか?

使えます。指定講座を受けるなら、受講料は教育訓練給付金、休む間の生活費は教育訓練休暇給付金という組み合わせになります。教育訓練給付金は受講開始日の2週間前までに受給資格確認が要るので、手続きは別々に進めてください。

まとめ:会社と加入期間の確認から始める

教育訓練休暇給付金は、会社を辞めずに学ぶ人の生活費を支える新しい給付です。使えるかどうかは、会社の休暇制度と自分の加入期間でほぼ決まります。

この記事のまとめ

  • 2025年10月1日創設。連続30日以上の無給休暇中の生活費を支える
  • 条件は休暇前2年に12か月以上と通算5年以上の加入
  • 給付日数は90・120・150日、受給期間は休暇開始から1年
  • 会社に制度がなければ、規程例と助成金の資料を添えて相談する
  • 受給後は雇用保険の期間がリセットされる。教育訓練給付金とは併用できる

学費の側を軽くする方法は、専門実践教育訓練給付金で学ぶ講座の選び方で詳しく見られます。ほかの給付金・補助金と比べたい人は、個人が使える制度一覧から確かめてください。


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免責事項

※本記事は厚生労働省・ハローワークの公開情報をもとにした整理です(2026年10月時点)。支給要件・給付額・給付日数・手続きは制度改定や個人の雇用保険の加入状況、会社の休暇制度により異なり、支給を保証するものではありません。最新の条件と適用の可否は、事業所または住所地を管轄するハローワークでご確認ください。


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この記事を書いた人

Fujimotoです。企業の人材開発と研修運営に7年間携わり、働きながら新しいスキルを身につけて転職や社内異動につなげたい社会人の相談を、500人以上受けてきました。

「何を学べば食いっぱぐれないですか」とよく聞かれましたが、続く人と途中でやめる人の差は、教材の良し悪しよりも、学んだ先に転職や副業といった出口を描けているかどうかでした。私自身もWebマーケの講座やMOSを受け、専門実践教育訓練給付金を使って受講料の負担を抑えた経験があります。このサイトでは、講座選びと給付金の使い方を具体的にまとめています。給付率や対象講座は変わることがあるので、申請前に厚生労働省の最新情報もご確認ください。

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