主婦・離職中の人のリスキリング支援は「雇用保険に入っていたか」で入口が変わります。教育訓練給付は被保険者期間が要件のため対象外になる人もおり、その場合は訓練が無料になる求職者支援制度(月10万円の給付金あり)が候補です。
この記事でわかること
- 教育訓練給付は「誰でも使える制度ではない」という前提と、雇用保険の被保険者期間という要件
- 雇用保険を受給できない人向けの求職者支援制度(受講料無料・職業訓練受講給付金 月10万円)
- 給付金を受け取るための収入・資産・出席率の条件(本人月8万円以下・世帯月30万円以下など)
- 雇用保険の被保険者でない人が使えるリ・スキリング等教育訓練支援融資という選択肢
- 子育て中の人向けの短時間訓練・託児サービスという配慮の存在
公的情報源: 厚生労働省「求職者支援制度のご案内」(参照・2026年7月確認)/厚生労働省「教育訓練給付制度」(参照)/厚生労働省「リ・スキリング等教育訓練支援融資」(参照)
結論から整理します
「リスキリングは給付金でお得に学べる」という説明をよく見かけます。ただし、教育訓練給付は雇用保険の被保険者期間を要件とする制度です。結婚や出産で長く離職している人、雇用保険に入らない働き方をしてきた人は、対象外になることがあります。
ここを混同したまま講座に申し込むと、あてにしていた給付が受けられません。まず確認すべきは講座ではなく、自分がどの制度のルートに乗るかです。
- 教育訓練給付は雇用保険の被保険者期間などが要件。離職期間が長い人は対象外になりうる
- 雇用保険を受給できない人には求職者支援制度があり、職業訓練を無料で受講できる
- 要件を満たせば職業訓練受講手当 月10万円+通所手当(月上限42,500円)を受給できる
- 給付金には本人収入 月8万円以下・世帯収入 月30万円以下・世帯の金融資産300万円以下などの条件がある
- 雇用保険の被保険者でない人向けに教育訓練費と生活費の融資制度もある
この記事は「どの講座を選ぶか」ではなく、どの制度に自分が該当するかを先に確定させるための整理です。
まず確認すること|雇用保険に入っていたかで入口が変わる
支援制度は大きく2系統に分かれます。雇用保険の実績を使う制度と、雇用保険を受給できない人のための制度です。
自分がどちらかは、直近の働き方で判断できます。会社員・パートで雇用保険に加入していた期間があるなら前者の可能性があり、専業主婦(主夫)期間が長い、家族の扶養内で働いてきた、自営業だったという場合は後者が中心になります。

支援制度の入口(2026年7月時点)
| 立場 | 主な候補 | 費用面の支援 |
|---|---|---|
| 雇用保険の被保険者期間がある(在職・離職どちらも) | 教育訓練給付 | 受講費用の20〜80%が支給対象 |
| 雇用保険を受給できない離職者・扶養内のパート等 | 求職者支援制度 | 訓練の受講料が無料。要件を満たせば月10万円 |
| 雇用保険の被保険者・受給資格者でない | リ・スキリング等教育訓練支援融資 | 教育訓練費・生活費を融資(要件を満たすと返済免除) |
※制度の対象・要件は改定される場合があります。適用可否の判断は、お住まいを管轄するハローワークで確認してください。
「主婦だから使えない」でも「主婦なら使える」でもない
よくある誤解が2つあります。ひとつは「主婦は給付金を使えない」。もうひとつは「主婦でも誰でも給付金がもらえる」。どちらも正確ではありません。
判断を分けるのは属性ではなく、雇用保険の加入歴と現在の収入・資産の状況です。過去にフルタイムで働いていた期間があるなら、教育訓練給付の対象になる可能性が残ります。逆に、その実績がなくても求職者支援制度という別ルートがあります。
雇用保険を受給できない人向け|求職者支援制度
雇用保険の実績がない、あるいは受給が終わってしまった場合の中心的な制度が求職者支援制度です。厚生労働省は、無料の職業訓練を受講できる制度と案内しています(2026年7月時点)。
求職者支援制度の対象になる人(厚生労働省の案内より)
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 離職者 | 雇用保険の適用がなかった離職者/フリーランス・自営業を廃業した人/雇用保険の受給が終了した人 |
| 在職者 | 一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職を目指す人 |
出典: 厚生労働省「求職者支援制度のご案内」(参照・2026年7月確認)
訓練の受講と給付金は別々に判定される
ここは間違えやすい点です。訓練を受けることと月10万円の給付金を受け取ることは、同じ制度の中でも条件が分かれています。
訓練自体は受講料無料と案内されている一方、職業訓練受講給付金には収入・資産・出席の条件が付きます。つまり「訓練は受けられるが給付金は対象外」という組み合わせもありえます。
職業訓練受講給付金の内容と主な要件(厚生労働省・2026年7月確認)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 職業訓練受講手当 | 月10万円 |
| 通所手当 | 訓練施設へ通所する定期乗車券などの額(月上限42,500円) |
| 寄宿手当 | 月10,700円 |
| 本人収入の要件 | 月8万円以下 |
| 世帯収入の要件 | 月30万円以下 |
| 資産の要件 | 世帯全体の金融資産が300万円以下 |
| 出席の要件 | 訓練実施日すべてに出席(やむを得ない理由がある場合も8割以上) |
※上記のほか、不正受給がないことなどの条件があります。世帯の収入は同居家族分も含めて判定されるため、配偶者の収入がある場合は要件を満たさないことがあります。詳細はハローワークで確認してください。

配偶者に収入がある場合はどうなるか
扶養内で働いてきた人がつまずきやすいのがここです。世帯収入 月30万円以下という要件があるため、配偶者の収入によっては給付金の対象から外れます。
ただし、その場合でも訓練そのものを受けられる可能性は残ります。「給付金がもらえないから諦める」ではなく、無料で受けられる訓練があるかを窓口で聞くほうが選択肢は広がります。
教育訓練給付が使える主婦・離職者もいる
離職中でも、過去に雇用保険に加入して働いていた実績があれば教育訓練給付の対象になる場合があります。この制度は在職者だけのものではありません。
教育訓練給付の給付率(厚生労働省・2026年7月確認)
| 区分 | 給付率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20% | 10万円 |
| 特定一般教育訓練 | 40%(資格取得等で50%) | 20万円(50%時は25万円) |
| 専門実践教育訓練 | 50%/就職で70%/賃金上昇で80% | 年間40万円/56万円/64万円 |
出典: 厚生労働省「教育訓練給付制度」(参照)
ただし、離職から時間が経っている場合は適用の可否が個別に変わります。被保険者期間、離職からの経過期間、過去の受給歴。この3点で判定が分かれるため、自己判断せずハローワークで確認するのが確実です。制度の中身は専門実践教育訓練給付金で学ぶリスキリング講座の選び方にまとめています。
- 「対象講座」の表記だけで判断する:講座側が指定を受けていても、自分側の要件を満たすとは限らない
- 申し込んでから相談する:区分によっては受講開始前の手続きが必要で、後からでは間に合わないことがある
- 在職者向けの制度と混同する:経済産業省のキャリアアップ支援事業は在職者が対象のため、離職中は該当しない
在職者向けの補助制度との違いはリスキリング補助金(個人向け)とはで整理しています。
雇用保険の外にいる人向けの融資制度
もうひとつ知っておきたいのが、リ・スキリング等教育訓練支援融資です。厚生労働省の案内では、雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないことが要件とされています。
融資制度の概要(厚生労働省・2026年7月確認)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 雇用保険被保険者・受給資格者でない人 |
| 融資の対象 | 年間120万円の教育訓練費用+年間120万円の生活費(月10万円) |
| 期間 | 最大2年間分(年収200万円未満や離職者は最大1年間分) |
| 返済免除の条件 | 指定の訓練を修了/修了翌日から1年以内に雇用保険被保険者として就職し1年以上継続雇用/訓練修了後の賃金が開始前より5%以上上昇 |
出典: 厚生労働省「リ・スキリング等教育訓練支援融資」(参照)
注意したいのは、これが給付ではなく融資である点。返済免除には3つの条件をすべて満たす必要があり、条件を満たせなければ返済が残ります。無料の訓練が使えるなら、まずそちらを検討するのが基本になります。
何を学ぶか|再就職を見据えた分野の選び方
制度のルートが決まったら、次は分野です。ブランクがある状態からの再就職では、求人の母数が多く、成果を示しやすいスキルから入るのが現実的でしょう。

- 事務職での再就職を目指す:ExcelやWordの操作を証明できる形にすると、書類選考で伝わりやすい
- 在宅で働ける幅を持ちたい:Web関連の実務スキルは、時間や場所の制約と相性が良い
- まず短時間から復帰したい:短時間の訓練コースや託児サービス付きの訓練があるかを窓口で確認する
厚生労働省の求職者支援制度では、訓練コースが分野ごとに設定されています。どのコースが自分の地域で開講されているかは時期により変わるため、窓口で最新の開講予定を確認してください。
事務職の土台を固めたいならMOS・PCスキルのオンライン講座、Web系の入口を知りたいならWebマーケの独学ロードマップが参考になります。
子育てと両立する場合の確認事項
小さな子どもがいる場合、訓練に通えるかどうかが最大の関門になります。相談時には次の3点を確認しておきましょう。
- 短時間コースの有無:1日の訓練時間が短いコースが開講されているか
- 託児サービスの有無:訓練受講中の託児支援が利用できるか
- 出席要件との兼ね合い:子どもの体調不良で欠席した場合の扱いはどうなるか
給付金には出席の要件があるため、欠席が続くと受給できなくなる可能性があります。事前に扱いを聞いておくと、後から慌てずに済みます。
よくある質問
主婦・離職中の学び直しについて、相談の多い質問をまとめます。
Q1:主婦でも教育訓練給付金は使えますか?
雇用保険に加入して働いていた実績があるかどうかで変わります。教育訓練給付は雇用保険の被保険者期間などを要件とする制度のため、扶養内で雇用保険に入っていなかった場合や離職から時間が経っている場合は対象外になることがあります。適用可否はハローワークで確認してください。
Q2:雇用保険に入っていなかった人はどうすればいいですか?
求職者支援制度が候補になります。厚生労働省は雇用保険の適用がなかった離職者やフリーランスを廃業した人などを対象に、無料の職業訓練を受講できる制度として案内しています。要件を満たせば職業訓練受講給付金(月10万円)を受け取りながら受講できます。
Q3:夫に収入があると月10万円の給付金はもらえませんか?
職業訓練受講給付金には世帯収入 月30万円以下・世帯全体の金融資産300万円以下といった要件があるため、配偶者の収入によっては対象外になります。ただし給付金と訓練受講は別の判定です。給付金が受けられない場合でも訓練を受けられる可能性があるため、窓口で確認してください。
Q4:離職期間が長いと支援は受けられませんか?
受けられる制度があります。教育訓練給付は離職からの経過期間によって判定が変わりますが、雇用保険を受給できない人向けには求職者支援制度があります。さらに、雇用保険の被保険者・受給資格者でない人向けの融資制度も用意されています。
Q5:リスキリング補助金(キャリアアップ支援事業)は主婦でも使えますか?
経済産業省のキャリアアップ支援事業は雇用契約のある在職者が対象で、成長分野への転職が前提の事業です。専業主婦(主夫)や離職中の人は対象外になります。離職中の場合は、求職者支援制度や教育訓練給付など厚生労働省側の制度を確認してください。
Q6:子どもが小さくても訓練に通えますか?
コースによっては短時間の訓練や託児サービスが用意されている場合があります。開講状況は地域と時期で変わるため、ハローワークで最新のコース一覧と託児支援の有無を確認してください。給付金には出席要件があるので、欠席時の扱いも合わせて聞いておくと安心です。
まとめ:制度の入口を先に確定させる
主婦・離職中の人がリスキリング支援を使うための要点を整理します。
- 講座選びより先に雇用保険の加入歴を確認し、乗る制度を決める
- 教育訓練給付は被保険者期間などが要件。誰でも使えるわけではない
- 雇用保険を受給できないなら求職者支援制度(訓練無料・月10万円の給付金)
- 給付金には本人月8万円以下・世帯月30万円以下・資産300万円以下・出席の要件
- 雇用保険の外にいる人には融資制度もあるが、返済免除には3条件が必要
制度の適用可否は個人の状況で変わります。最初の一歩はハローワークでの相談。そこで自分が乗れるルートを確定させてから、講座や訓練コースを選ぶ順番にしましょう。
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免責事項
※本記事は公的支援制度の公開情報をもとにした整理です。給付率・支給額・対象者・要件・訓練コースの開講状況は制度改定や個人の状況、地域により異なり、支援の適用や再就職を保証するものではありません。最新の条件は厚生労働省の公式情報およびお住まいを管轄するハローワークでご確認ください。
