リスキリング研修サービスの比較は、定額制eラーニング・講師型研修・伴走型の3タイプに分けてから行うと迷いません。人材開発支援助成金を使えば、中小企業は研修経費の60〜75%が助成されます。
この記事でわかること
- リスキリング研修サービスの3つのタイプと向いている目的
- 代表的なサービスの料金・講座数・管理機能の比べ方
- 人材開発支援助成金の2つのコースの助成率と上限
- 社員30名で定額制サービスを入れた場合の費用の試算
- 契約より先に出す必要がある計画届の期限
公的情報源: 厚生労働省「人材開発支援助成金」(参照)/同 事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年4月8日版)・人への投資促進コースのご案内(令和8年4月8日版)/いずれも2026年9月時点
この記事の要点
- 研修サービスは定額制eラーニング・講師型研修・伴走型の3タイプで役割が違う
- 定額制は人数が多いほど1人あたりが安い一方、受講が進まないと費用だけが残る
- 助成金は事業展開等リスキリング支援コース(中小75%)と人への投資促進コース(定額制60%)が軸
- eラーニング・定額制は経費助成のみで、賃金助成は出ない
- 計画届は訓練開始の6か月前から1か月前まで。契約してからでは間に合わない
社員個人として学び直しを考えている場合は、リスキリング講座おすすめ比較が入り口です。この記事は、会社として研修サービスを選ぶ人事・研修担当者向けに書いています。
リスキリング研修サービスは3タイプで比べる
リスキリング研修サービスを比較するときは、サービス名より先にタイプを決めるのが近道です。タイプが違うと、料金の形も、効果の出方も、助成金の扱いも変わります。
リスキリング研修サービスの3タイプ
- 目的と対象人数でタイプが決まる
- 定額制eラーニング大勢に幅広い講座を配る。1人あたりは安いが、受講率が成果を左右する
- 講師型研修(集合・オンラインライブ)特定のテーマを短期間で全員にそろえる。日程調整が要る
- 伴走型・実務型DXやデータ活用など、自社の業務に当てはめて成果物まで作る。少人数向け
図:まずタイプを決めてから、同じタイプの中でサービスを比べる
タイプ別の特徴(一般的な傾向)
| タイプ | 向く目的 | 料金の形 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 定額制eラーニング | 全社の底上げ・自律学習 | 1ユーザーあたり年額・月額 | 受講が進まない人が出やすい |
| 講師型研修 | 階層別・テーマ別に一斉に学ぶ | 1回・1日あたり、人数ごと | 日程と会場の調整が要る |
| 伴走型・実務型 | DX推進・新規事業の担い手づくり | プロジェクト単位 | 少人数でも費用は大きい |
定額制eラーニングは「配る」研修
定額制は、数千〜数万本の講座を社員に開放するタイプです。人数が増えるほど1人あたりの費用は下がります。
弱点は、配っただけでは学ばない人が出ることです。受講状況を見える化する管理画面と、上司が声をかける仕組みまで含めて選ぶと、費用が無駄になりにくくなります。
講師型研修は「そろえる」研修
生成AIの基礎や情報セキュリティのように、全員に同じ内容を短期間で身につけてほしいときは講師型が向いています。ライブ形式なら、質問もその場で解決できるのが利点です。
伴走型は「成果物をつくる」研修
DX推進担当やデータ分析の担い手を育てる場合は、自社のデータや業務を題材に、成果物まで伴走するタイプが合います。人数は絞られますが、研修が終わった時点で業務に使えるものが残るのが強みです。
定額制eラーニングの代表サービスを比べる
定額制の代表的なサービスを、公式サイトの掲載内容で比べます(2026年9月29日確認)。料金を公開していないサービスも多いため、同じ条件で見積もりを取って比べるのが前提です。
定額制eラーニングの比較(公式サイト掲載・2026年9月29日確認)
| サービス | 講座・動画の数 | 料金の公開 | 得意分野 |
|---|---|---|---|
| Udemy Business チームプラン | 14,000以上のコース | 1ユーザー年38,000円(2〜50名) | IT・AI・ビジネス全般 |
| Udemy Business エンタープライズ | 30,000以上のコース | 見積もり(21名以上) | 同上+SSO・LMS連携 |
| GLOBIS学び放題 | 20,000本以上の動画 | 法人は問い合わせ | 経営戦略・会計・リーダーシップ・AI |
Udemy Businessのエンタープライズプランは、シングルサインオンやLMS連携、APIなど大企業向けの管理機能が加わります(公式のプラン比較ページ)。GLOBIS学び放題は、MBA系のビジネス基礎からDXまでを動画で学ぶ設計です。
比べるときの5つの軸
料金表だけで決めると、導入後に「使われない」「管理できない」が起きがちです。次の順で確認してください。
- 学ばせたいテーマの講座が、日本語でどれだけあるか
- 受講状況・修了率を部署ごとに見られる管理画面があるか
- 最低契約人数と契約期間(年間契約か月単位か)
- 人材開発支援助成金の申請に使う書類(受講履歴・請求書)を出せるか
- 無料トライアルで、実際の社員に数日使わせられるか
4つ目は見落とされがちです。助成金を申請するときは、訓練の実施状況と費用の支払いを示す書類が要ります。発行できる書類を事前にサービス側へ確かめておくと、申請の段階で慌てません。
人材開発支援助成金でリスキリング研修の費用はどこまで下がるか
社員の研修費用には、厚生労働省の人材開発支援助成金が使えます。リスキリングに関わるコースは主に2つで、どちらを使うかで助成率が変わります。
リスキリング研修で使う2つのコース
- 対象の訓練
- 新規事業・DX化・グリーン化などに必要な知識の習得
- 経費助成
- 中小企業75%・大企業60%
- 賃金助成
- 1人1時間 中小1,000円・大企業500円(eラーニング等は対象外)
- 追加の書類
- 事業展開等実施計画
- 対象の訓練
- サブスクリプション型の研修サービスによる訓練
- 経費助成
- 中小企業60%・大企業45%
- 賃金助成
- なし
- 実施期間
- 令和4〜8年度の期間限定
図:事業展開やDXと結びつけられるなら助成率の高い左のコースが候補になる(令和8年度版パンフレット)
事業展開等リスキリング支援コースの上限
事業展開等リスキリング支援コースは、10時間以上のOFF-JTで、事業展開やDX化などに関わる訓練が対象です(厚生労働省・令和8年度版リーフレット)。受講者1人あたりの経費助成には、訓練時間に応じた上限があります。
事業展開等リスキリング支援コースの経費助成の上限(受講者1人あたり・令和8年度版)
| 訓練時間 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 10時間以上100時間未満 | 30万円 | 20万円 |
| 100時間以上200時間未満 | 40万円 | 25万円 |
| 200時間以上 | 50万円 | 30万円 |
eラーニングと通信制の訓練は、中小企業15万円・大企業10万円が上限です。定額制サービスによる訓練は、受講者1人1か月あたり2万円が上限になります。1事業所が1年度に受けられる額は1億円です(同リーフレット)。
人への投資促進コースは2026年度までの期間限定
人への投資促進コースは、令和4〜8年度の期間限定の助成です(厚生労働省・令和8年度版リーフレット)。令和8年度は2026年4月〜2027年3月にあたるため、定額制サービスでこのコースを使うなら、今年度の計画に組み込む必要があります。
定額制訓練の経費助成は中小企業60%・大企業45%で、上限は1人1か月2万円です。受講回数は1年度に3回までと決まっています。
社員30名で定額制を入れた場合の費用試算
具体的な金額でイメージをつかむため、Udemy Businessのチームプラン(1ユーザー年38,000円)を30名で1年間契約した場合を試算します。
30名×1年の費用試算(中小企業・表示価格ベースの目安)
| 項目 | 人への投資促進コース(定額制訓練) | 事業展開等リスキリング支援コース(定額制) |
|---|---|---|
| 年間の利用料 | 114万円 | 114万円 |
| 経費助成率 | 60% | 75% |
| 助成額の目安 | 68.4万円 | 85.5万円 |
| 実質負担 | 45.6万円 | 28.5万円 |
1人あたりの月額は約3,200円なので、1人1か月2万円の上限には届きません。上限に引っかからない分、助成率の差がそのまま負担の差になります。
ただし事業展開等リスキリング支援コースを使うには、新規事業やDX化など事業展開の中身を計画書で示す必要があります。全社員に配るだけの研修は、人への投資促進コースのほうが要件に合いやすいでしょう。
助成の対象になるかは、訓練の内容や受講の実績でも変わります。税の扱いを含めた最終的な金額は、管轄の労働局で確認してください。
どちらのコースで申請するかの分かれ目
- 研修の目的を「事業展開」と結びつけられるかで決まります
- 1新規事業・DX化などの計画がある事業展開等リスキリング支援コース。中小企業75%で、講師型なら賃金助成もつく
- 2全社の底上げに定額制を配りたい人への投資促進コースの定額制訓練。中小企業60%、令和8年度までの期間限定
- 3どちらにも当てはまらない人材育成支援コースなど他のコースを労働局に相談する
計画届は訓練開始(定額制は契約期間の初日)の6か月前から1か月前までに出す
図:研修の目的からコースを選ぶ(令和8年度版パンフレット)
導入から助成金を受け取るまでの流れ
助成金で一番多い失敗は、サービスと契約してから助成金を調べ始めることです。計画届の期限が契約日や訓練開始日から逆算で決まっているため、順番を間違えると取り戻せません。
- 職業能力開発推進者を選び、事業内職業能力開発計画をつくって社内に周知する
- 研修サービスを選び、訓練の内容と時間がわかるカリキュラムをそろえる
- 訓練開始日の6か月前から1か月前までに、職業訓練実施計画届を管轄の労働局へ出す(定額制は契約期間の初日が起点)
- 計画どおりに訓練を行い、支給申請までに経費を全額支払う
- 訓練が終わった翌日から2か月以内に、支給申請書を労働局へ出す
期限は厚生労働省の各コースのリーフレット(令和8年度版)に書かれています。事業展開等リスキリング支援コースでは、計画届と一緒に事業展開等実施計画も出します。
受講を進める仕組みも同時に決める
助成金が出ても、社員が学ばなければ研修の意味は残りません。導入の時点で、次のような運用を決めておくと受講率が安定しやすくなります。
- 業務時間内に学ぶ枠を週1〜2時間でも確保する
- 上司が月1回、受講状況を見て声をかける運用にする
- 学んだ内容を業務の小さな改善に使う場を用意する
働きながら学ぶ時間の組み立て方は、働きながら勉強する時間の作り方で社員向けに具体例をまとめています。研修案内と一緒に共有しておくと、受講の最初のつまずきを減らせるはずです。
リスキリング研修の選び方でよくある失敗
実際に導入してから困るパターンは、だいたい決まっています。
- 講座数だけで選ぶ:自社で学ばせたいテーマの日本語講座が少なかった
- 管理画面を確かめない:誰がどこまで進んだかが見えず、声かけができない
- 契約してから助成金を調べる:計画届の期限を過ぎていた
- 書類を想定していない:受講履歴や支払いの証明が出せず、申請でつまずく
- 目的を決めずに配る:DXを進めたいのに、受講の中心が一般教養に流れた
DXやデータ活用の担い手を社内で育てたい場合は、社員が何から学べばよいかを示しておくと受講が偏りません。分野の選び方はデータ分析・DX講座の選び方が参考になります。
よくある質問
リスキリング研修サービスの比較と助成金について、問い合わせの多い質問をまとめました。
Q1:リスキリング研修サービスは何を基準に比較すればいいですか?
まずタイプ(定額制eラーニング・講師型研修・伴走型)を決め、同じタイプの中で比べるのが基本です。そのうえで、学ばせたいテーマの講座数、受講状況を見られる管理画面、最低契約人数、助成金の書類を出せるか、無料トライアルの有無を確認します。
Q2:リスキリング研修に使える助成金はありますか?
あります。厚生労働省の人材開発支援助成金のうち、事業展開等リスキリング支援コース(経費助成 中小企業75%・大企業60%)と、人への投資促進コース(定額制訓練 中小企業60%・大企業45%)が主な候補です(令和8年度版)。
Q3:eラーニングでも賃金助成は受けられますか?
受けられません。事業展開等リスキリング支援コースでは、eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練は経費助成のみで、賃金助成は対象外です。賃金助成も受けたい場合は、講師型の研修(OFF-JT)を組み合わせることになります。
Q4:助成金の計画届はいつまでに出せばいいですか?
訓練開始日の6か月前から1か月前までに、管轄の労働局へ出します。定額制サービスの場合は、原則として契約期間の初日から数えて6か月前から1か月前までです。契約を結ぶ前に期限を確認してください。
Q5:中小企業と大企業で助成率はどれくらい違いますか?
事業展開等リスキリング支援コースの経費助成は、中小企業75%・大企業60%です。賃金助成は1人1時間あたり中小企業1,000円・大企業500円です(令和8年度版)。中小企業に当たるかどうかは業種ごとの基準で決まるため、労働局で確認してください。
Q6:人への投資促進コースはいつまで使えますか?
厚生労働省のリーフレットでは、令和4〜8年度の期間限定の助成と案内されています。令和8年度は2027年3月までです。来年度以降の扱いは、厚生労働省の最新の発表で確かめてください。
まとめ:タイプと助成金のコースを先に決める
リスキリング研修サービスの比較は、サービス名を並べる前にタイプと助成金のコースを決めると、候補が自然に絞れます。
この記事のまとめ
- 研修サービスは定額制eラーニング・講師型研修・伴走型の3タイプで比べる
- 定額制は管理画面と受講を進める運用までセットで選ぶ
- 助成金は事業展開等リスキリング支援コース(中小75%)か人への投資促進コース(定額制60%)
- 30名の定額制(年114万円)なら、実質負担は28.5万〜45.6万円が目安
- 計画届は訓練開始の6か月前から1か月前まで。契約より先に動く
社員が個人として学び直しの費用を抑えたい場合は、会社の助成金とは別に、本人が使える給付金もあります。個人が使えるリスキリングの補助金・給付金の一覧を社内の案内に添えておくと、自己啓発の後押しになります。




免責事項
※本記事は人材開発支援助成金の公開資料(令和8年度版)と各サービスの公式サイトの掲載内容をもとにした整理です(2026年9月時点)。助成率・限度額・要件・料金は制度改定やサービス側の変更、企業規模・訓練内容により異なり、支給を保証するものではありません。申請の可否は管轄の都道府県労働局でご確認ください。

